ハロゲンランプの寿命には次のような事柄が影響を与えます。
1.点灯電圧
2.点灯中の衝撃
3.周囲の温度
4.器具の換気
5.ソケット
この中で特に点灯電圧が大きな影響を持ちます。
1.点灯電圧の影響
電圧 | 90 V | 95 V | 100 V | 105 V | 110 V |
寿命 | 3,500 時間 | 1,900 時間 | 1,000 時間 | 560 時間 | 320 時間 |
色温度 | 2,840 K | 2,890 K | 2,950 K | 3,000 K | 3,060 K |
全光束 | 0.71 倍 | 0.85 倍 | 1.00 倍 | 1.17 倍 |
1.36 倍 |
すなわち、100Vが105Vに上がっただけで寿命が半分近くになることが分かります。
ランプの寿命が短いときはまず点灯電圧を疑って下さい。 昼間と夜間では電圧が違ってきますので、ランプを使用する時間帯を通して電圧を確認する必要があります。
点灯電圧が定格電圧から大きく離れますと、適切なハロゲンサイクルが起こらなくなります。
つまり低い電圧ではフィラメントが浸食されて寿命が延びなくなり、高い電圧ではバルブの黒化が起こりやすくなります。 そこで電圧を下げたのに期待したほど寿命が延びないということも起こります。
2.点灯中の衝撃
ランプの点灯中はフィラメントが高温のため、衝撃に弱くなっています。 衝撃が加わるとフィラメントの変形や断線が起こります。
特にランプを新しい物に交換するときに、電源を切らずに行いますと、 点灯したランプをセットしたり器具の蓋を閉めたりするときの衝撃が、ランプに悪い影響を与えます。 ランプを点灯したままで、器具の方向を変えたりフレーミングの羽根を動かしたりするときは、 極力衝撃を加えないように注意してください。
3.周囲の温度
器具は周囲温度35度までを考えて設計してあります。 温度が高くなりますと、ランプの短寿命の原因となることがあります。 密閉された場所、厨房の付近、暖房器具の暖かい空気の吹き出し付近など注意してください。 冬場の暖房の効いた部屋の天井付近も、温度が高くなります。 安全のために温度ヒューズを内蔵した器具では、その温度ヒューズが切れてしまうことがあります。
ダウンライトのタイプの器具では、天井裏に埋め込んだ部分を断熱材で覆うことのないように注意してください。
4.器具の換気
器具には換気のために必要な通気口が開いています。 器具の周囲に換気の障害物が無いようにしてください。 光漏れがするからということで、通気口をふさぐことは絶対にしないでください。
器具は正しい姿勢で取り付けて下さい。
5.ソケット
ファンを内蔵して強制空冷をしている器具では、まず問題が起こりませんが、 自然空冷の器具でソケットが長期間高温にさらされますと、ソケットのランプのピンとの接触部分が酸化してきます。 酸化により接触抵抗が増え、発熱が起こり、その熱がピンを通してランプに伝わり、寿命に影響を与えることがあります。
VN-250、VN-300は自然空冷で電球のワット数が250W、300Wと大きいので、どうしてもソケットの酸化が起こります。 定期的にソケットの交換をしてください。
寿命の定義
ランプを定格電圧で点灯し、寿命に悪い影響を与える要因(シール部の温度が高い、バルブの温度が低すぎる/高すぎる等) がない場合、長い期間にわたって製造された多数のランプの平均寿命時間を、定格寿命と言います。
平均の寿命時間ですから、個々のランプについては寿命時間に達しなかったり、それを超えたりします。
下に示すグラフは、定格寿命1000時間のランプを点灯した時、点灯時間に対して切れずに残っているランプの割合を示しています。
このグラフは一般的なランプの残存率を示していますので、特定の種類のランプにそのまま当てはめることはできませんが、 寿命時間に対して3割以上短かったり、長かったりするものが出てくることがわかります。
このグラフによれば、定格寿命の半分の500時間で2%位のランプが切れ、750時間で約20%のランプが切れることになります。
残存曲線